ボートレースアナウンサー:荻野滋夫
結果の窓から見てはならない「度量衡の人」
『度量衡』という言葉がある。『度』は長さ、『量』は体積、『衡』は質量を表す。つまり、
ものさしや秤を意味するのだが、かつて古老から「人物の大きさをはかるときにも使う」と教
えられたのを思い出す。 未来と過去を見通す時間軸が長く、現実を受け入れる器が大きく、言
動が重厚である者を、人は尊敬する。まっさきに吉川元浩が思い浮かぶのはなぜだろうか。 阪
神淡路大震災という未曾有の経験を経てボートレーサーを目指したというが、人知を超えた大
きな渦の中で生かされている確信があるのでは…と勝手に思う。 結果に一喜一憂しない姿勢と
2007年・福岡グランプリVで語った「今年、自分が一番努力した」という言葉は相反するよう
だが、その根底には『人事を尽くして天命を待つ』精神があるはずだ。 吉川元浩は、結果の窓
から見てはならぬ大きな男だ。
スポーツ報知若松担当:井上誠之
11年遠ざかっているSG制覇は地元水面で
今ではとても考えられないが、かつて兵庫は弱小支部のひとつで、2005年までSG覇者不在、
SG常連も少なく、G1覇者さえなかなか誕生しない時期があった。 その状況を打破したのが魚
谷智之と吉川元浩。2006年の福岡ダービーで魚谷と吉川がワンツー。尼崎場外では売り上げよ
りも、払戻金の方が圧倒的に多かったという伝説も残った。 翌2007年には魚谷がSG連覇、吉
川がグランプリを制覇して、この2人で獲得賞金1、2位を独占。尼崎ファン待望の全国区ス
ターが一気に2人も誕生した。 ただ、吉川はグランプリ制覇以降、SGタイトルには無縁。G1
戦16勝の実力から考えても、これはあり得ないこと。 地元尼崎のSG戦はオールスターで9回
目。待望のSG2勝目は地元水面で…の意気込みだろう。
ファイティングボートガイド戸田担当:野添弘行
篤実なセンタープールの業師
「 今さらそんなこと思い出させるなよ…」と、吉川選手がこの原稿をうっかり読んだらそうぼ
やきそうな話ですが…。 自分が吉川元浩にまつわるシリーズで一番印象強く覚えている一節と
いうと、10年の戸田『本命バトル祭(第1回)』です。 シード企画戦の先駆けで、注目度が高
かった当節。吉川は本命選手で召集を受け、低調機でファンの期待に応えようとする無理がた
たって、Fに転覆も喫する厳しい成績でした。 券を買っているファン側からは、何だよ…の思
いがあって仕方なしです。 ただ、ファンや運営の期待に応えようと苦闘して、プライドを傷つ
けられながらも、メディア対応も丁寧に最後までこなした吉川の姿は、内幕を知っている記者
達からは賞賛の声が挙がる一節でもありました。 言葉にされては面映ゆいでしょうが、誠実と
努力の人。待望の地元SGでの活躍へ、素直にエールを送りたいものです。
スポーツ報知蒲郡担当:太田和良
地元で迎える9度目のSGで悲願達成を!
ボートレーサーを評価する指標として、賞金獲得額、勝率、優勝回数などが挙げられる。 この
中で優勝回数については、同時に優出回数も表記されることが多い。 そして、いつも瞬時に計
算をしてしまうことがある。それは優勝回数に6を掛けることだ。 その数値が実際の優出回数
に対してハイorローで「勝負強いかどうか」の判断にもなる。 例えば吉川元浩の場合、通算
75優勝×6=450。実数は230、断然のローでV確率は32.6%だ。G1は55優出16優勝、V確率
は29.1%。これもかなりの優秀な数値だ。 ただ、SGになると17優出1優勝、V確率は5.9%ま
で落ちる。 今回のオールスターは地元の尼崎で行われる自身9度目のビッグ舞台。このままSG
のV確率がひとケタで終わる選手ではない!
サンケイスポーツ住之江担当:丹羽一成
尼崎では最強! 吉川の豪腕が炸裂する
マスターズ世代に突入した吉川だが、まだ45歳。魚谷智之とともに兵庫のエースとしてさらな
る飛躍が期待されるSGタイトルホルダーだ。 SG初制覇は2007年のグランプリ(福岡)。 い
きなりの黄金ヘル戴冠だったが、08年(3着)と09年(5着)にも優勝戦に進出し、改めてそ
の実力を全国に知らしめた。 ただ、09年を最後にグランプリの出場が途絶えているだけに胸
中は決して穏やかではないはず。 そんな焦りからか、一時期はフライング事故の多発で苦境に
陥ったこともあった。それでも不屈の精神力で立ち直り、存在感を示してきたところに彼の資
質の高さがうかがえる。 知り尽くしたホームプールでの戦いは絶対的なアドバンテージ。
SGV2へ、今こそ真価が問われる。
GRANDE5とは?
グランデファイブとは5SG競争を制したグランドスラマーに対して授与する称号です。また、
初めてGRANDE5を達成したボートレーサーに3億円相当のインゴットを贈呈いたします。
※グランデ…ラテン語で偉大なを意味します
メダルを授与される5SG競争とは?
ボートレースクラシック
1年のSGシリーズの開幕を飾るSG競走です。
前年度当該競走の優勝者。(※優先出場者)
前年のSGグランプリ優勝戦出場者。(※優先出場者)
前年1月~12月のSG・プレミアムGI・GI・GII競走の優勝者。
※レディースチャレンジカップ及びレディースオールスターを除く
当年の各地区選手権優勝者6名。
前年1月~12月のSG・プレミアムGI・GI・GII競走を除いた優勝回数上位者。
※レディースチャレンジカップは「GIII・一般」として選出基準に反映
優勝回数が同一の者が2名以上の場合には、勝率が上位の者から選出する。
勝率が同率の場合は、着順点合計が上位の者から選出する。
級別、出走回数、事故率は問わない。
ボートレースオールスター
ファン投票によって出場選手を決定することから、「ファンが作ったファンの為のSG競走」と
も称されます。
前年度当該競走の優勝者。(※優先出場者)
前年のSGグランプリ優勝戦出場者。(※優先出場者)
直前のSG競走である同年のSGボートレースクラシック優勝者。
前年1月~12月までの競走において、出場回数が160回以上のファン投票上位者。
当年前期A1級選手を対象にしたファン投票を行い、その獲得票数順に選出。
出場選手選考委員会による推薦者。
ボートレースメモリアル
開催場を含め全国の各ボートレース場から推薦で選手が選ばれることから、「ボートレース甲
子園」とも呼ばれます。
前年度当該競走の優勝者。(※優先出場者)
前年のSGグランプリ優勝戦出場者。(※優先出場者)
直前のSG競走である当年のSGオーシャンカップ優勝者。
前年6月1日~当年5月31日までの競走において、出場回数が160回以上。
開催場を除くボートレース23場の推薦出場者。原則として各場からの推薦選手は2名とする。
なお、優先出場者と推薦出場者が重複した場合は、各場の推薦選手とする。
※SGグランプリ優勝戦出場者は推薦出場者となります。
開催施行者希望出場者。
ボートレースダービー
SGシリーズの中で最も長い歴史と伝統を誇るSG競走です。
前年度当該競走の優勝者。(※優先出場者)
前年のSGグランプリ優勝戦出場者。(※優先出場者)
直前のSG競走である当年のSGボートレースメモリアル優勝者。
前年8月1日~当年7月31日までの競走において、出場回数が160回以上の勝率上位者。
グランプリ
その年に活躍したボートレーサーが賞金1億円をかけた最高峰のSG競走です。
当年1月1日~SGチャレンジカップ終了日までの獲得賞金上位者18名。
勝ち上がり方式
第1ステージでは獲得賞金額上位7位から18位までの12名により競い、 そこで勝ち上がった6
名は第2ステージへ進出し、他の6名はグランプリシリーズ戦へ移ります。
第2ステージでは3日目から出場する獲得賞金額上位1位から6位までの6名と第1ステージから
勝ち上がった 6名の計12名により賞金1億円をかけて競います。